遺品整理はいつまでに取り掛からなければいけないという決まりはありません。だからといっていつまでも放置しておくと犯罪の助長になったりご近所の迷惑、税金の負担、多額の費用の発生などデメリットがたくさん出てきてしまいます。
故人がなくなってすぐは、必要な手続きが山ほどあり、取り仕切る親族の方が少ない場合は特に大変です。別れを惜しむ暇もないという状況の中、遺品整理のことも考えないといけないとなると、どれから手を付けるべきかわからなくなってしまいそうです。
適切な遺品整理の時期は、ご遺族や相続される方の状況によって大きく変わるため目安となる一般的な時期をご紹介します。
遺品整理に適した時期とは?
遺品整理に適した時期は一言で表現するならば、『ご遺族様のタイミング』ということになります。
遺品整理よりも先に行わなければいけない期限付きの申請や手続きは驚くほどたくさんあります。一例ですが、逝去されてすぐは葬儀の手続きに打ち合わせ、故人様の関係者の方への連絡、死亡届や埋仮想許可申請…
これらを同時進行で進めていかなければなりません。
遺品整理はスケジュールを立てて取り組んでいてもかなり時間がかかる作業になります。
特にお急ぎでない場合や親族間の同意が取れていない場合などは以下の時期をご参考にされてください。
四十九日を迎えた後
四十九日の法要で親族が多く集まる機会に相談して、始めるタイミングや誰が取り仕切るか、形見分けの方法や集まれる日にちなどを話しておくと共通認識として考えてもらいやすくなります。
遺品整理は、人数がたくさん集まればうまくいくというわけではありませんが、一人だけの負担になってしまうと、精神的にも肉体的にもとても辛い作業になってしまいます。そのような事態を避けるためにも話し合いはしっかりしておくほうがいいです。
葬式後すぐに
葬儀の後すぐに遺品整理を始めても全く問題ありません。お部屋の状況によっては一刻も早く取り掛かったほうがいい場合もあります。
親族が遠方にいる方のほうが多い場合などは、何度も集まって遺品整理をやっていくというのは現実的ではないですし、故人様の住居が賃貸物件の場合もあまり間をあけずに遺品整理に取り掛からないと、費用も時間もかかってしまい負担が大きくなってしまいます。
気持ちの整理がつかぬままやることがたくさんある中で遺品整理まで…と思われる場合は業者も視野に入れて考えましょう。
公共料金の解約後
生活する中で契約しているものはたくさんあります。ライフラインの停止の手続きだけでも、水道、ガス、電気、電話、インターネット、サブスクリプションや定期購入しているものなど多岐にわたります。
公共料金だけではなく、クレジットカードの利用停止や解約手続き、年金、保険金も手続きをしなければなりません。遺品整理中に契約書や重要書類が見つかる場合もありますので、早く対応するためにも公共料金の解約後に遺品整理にすぐ取り掛かるのも一つの目安になります。
相続税が発生する前
相続税は、相続をする遺産にかかってくる税金のことです。相続するとなんにでも税金がかかるのか?というと、そうではなく、非課税額が決められています。相続する財産が非課税の範囲内であれば、相続税はかかりません。
非課税額を超えて相続する際は、相続税の対象となり、税務署に申告をする必要があり、この申告書の提出期限は、被相続人が逝去後、10か月以内と決められており、期間内に納税もしなければいけません。
この期間を過ぎても申告も納税も可能ですが、相続税控除、遅延税がかかってしまう場合もありますのでご注意ください。
相続する金額が大きくなりそうな場合は、相続する遺品を選別する時間も必要になってくるので、相続税が発生する前に遺品整理を済ませておくほうがベストです。
遺品整理が遅れるデメリットについて
遺品整理のタイミングがなかなか取れず遅くなってしまった場合、考えられるデメリットは、ずっと頭の片隅に遺品整理のことが引っ掛かったままになってしまうことです。どうしても日にちが長くあいてしまうと、面倒に感じてしまってさらに後回しになってしまいます。
この日、と決められた日にちがあるわけではないので、遺品整理のタイミングは気持ちの整理がついた時が一番かと思いますが、気持ちの整理もこの日につく、というものでもありませんよね。
遺品整理をすることで、気持ちの整理を付けられるいいきかっけにもなります。
相続に関係する人の意見を聞いて、遺品整理にも協力してもらえる日を開始日にするとデメリットがなくなります。
賃貸物件の場合が家賃が発生
お亡くなりになった方のお住まいが賃貸物件だった場合は、退去や清掃の問題がありますので、一日も早く部屋を原状回復させる必要があります。住んでいない状態で家賃だけが発生してしまうとなると、お部屋の状態も悪くなり、退去時も費用がかさんでしまうことになりません。
かなりスピーディーに遺品整理を行っていかないといけない場合が賃貸物件にお住いの場合といえます。
相続税が発生
先述しましたが、相続税の申告納税には10か月の期限があります。その期間を超えても手続きは不可能ではありませんが、手間も費用もかかってくることになるため余裕をもって10カ月以内に、相続と遺品整理が終わっていることが望ましいです。
固定資産税の過料
故人様のお住まいが賃貸物件ではない場合は急ぐ必要ないんじゃないかな?と思われるかもしれません。所有権の権利のある戸建てやマンション、には固定資産税が発生します。空き家のまま放置すると、特定空家に指定される可能性があり、対象になると過料が課せられるだけでなく固定資産税が加算されることがあります。
長い間、手入れをせず放置することで倒壊等の危険性が高まったり、周辺の衛生環境に有害となってしまう恐れがあり、空き家対策特別措置法で定められています。大きなトラブルとなってしまう前に、遺品整理をし、物件売却や賃貸、解体など対策をとるようにしましょう。
遺品整理せずに物を残すとトラブルになる
遺品整理せずに物を残したままにしておくと、犯罪の温床(不法侵入や盗難)になったり、ホコリがたまり火事を誘発する恐れもあります。空き家の管理を厳重にすることはもちろんですが、空き家になるからと物を放置せずに、近隣住民の方に配慮し、安全な周辺環境を保つためにも遺品整理は必須となります。
まとめ
遺品整理はデリケートな問題でもありますので、相続人間でしっかりと話し合って意思確認をしておくこと、いつまでに終わらせなければいけないという決まりはありませんが、早めに取り掛かれるタイミングを作るとスムーズな相続にもつながっていきます。遺産相続はトラブルになってしまうケースが少なくありません。故人様の遺志や希望があれば尊重し、争いを生むことがないよう気を付けましょう。
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