セルフネグレクト=自己放任、自分への虐待と表現されています。自分自身に関心がなくなることで様々な悪影響を及ぼし自分で自分を苦しめてしまうことになります。セルフネグレクトは、『気づく』ことから始まります。日常の少しのめんごくさいと密接なつながりのある精神疾患なので、自分ではなかなか気づくことができません。
一日一日気づかず過ごしていると状態が悪化し、気持ちだけでなく健康被害を及ぼします。自分や周りの大切な人がセルフネグレクトの状態かもしれない。に気付けいてあげられるのはあなたかもしれません。
目次
若者に急増中のセルフネグレクトとは?
まず、セルフネグレクトはどんな方にも陥りやすい精神疾患です。認知症や老化も大きな発症要因の一つではありますが、若いからセルフネグレクトにはならない!ということはありません。なぜ若い人に急増しているのか?それは新型コロナウイルスも大きく影響しています。
今までのルーティーンだったもの、仕事や趣味が制限される状況が長く続き、外に出る機会も人に会う機会も少なくなってしまいました。離れていても気軽にコミュニケーションが取れるSNSを活用しているが、トラブルも多くあり、人と関わるのが億劫になってしまった。
新生活に対応できず、自分のリズムが作れない。
仕事をしたくても今の状況ではなかなか厳しい…
と我慢をすることが多くなってしまう。そうなると気が付かないうちにセルフネグレクトの状態になってしまいます。
セルフネグレクトになる原因とは?
セルフネグレクトは自己肯定感が低くなってしまうことが原因となることが多いです。失恋をして気持ちが大きく沈んでしまう、仕事が思うようにいかず自分を責めてしまう、整理整頓の仕方がわからず散らかったままになってしまう誰しも一度は経験したことがあると思います。
自己評価が下がってしまうと自分に無関心になってしまいます。
自分に関心がなくなると、気力がわかなくなり、今まで問題なくできていた日常生活に大きく支障をきたしていきます。どうでもいい、めんどくさいの状態が長く続くことで、住環境は荒れゴミ屋敷になってしまい感染症や火災を引き起こします。
自己肯定感が低い人は自分の殻に閉じこもりがちになりますが、周りを頼ることで簡単に解決したり気持ちがすっきりすることもたくさんあります。自己評価は人と関わることで大きく変わっていきます。ふさぎこんでセルフネグレクトにならないためにも周りの方の優しい気持ちやサポートがとても重要です。
孤独感
現代社会は核家族化も進み、家族間でのかかわりさえ少なくなったといわれるようになりました。一人で過ごす時間が多くなることで、孤独感が強くなってしまい、人間関係に対する自信がなくなってしまいまた孤独感が強くなる。という負の連鎖となってしまいます。
『寂しい』や『不安』という感情は恥ずかしいものではありません。口に出して伝えることが孤独感を解消する一番の薬です。
思っていることを相手に伝えるのは苦手な人もいるかもしれませんが、勇気をもって伝えてみましょう。周りの人との良好な関係もセルフネグレクトを引き起こさないためには必要です。
身近な人とのコミュニケーション不足
SNSの普及によりたくさんの人と気軽にコミュニケーションが取れるようになりました。では身近な人とのコミュニケーションはどうでしょうか。SNSは一方通行で発信ができる便利さがありますが、対人となるとそうはいきません。人と話すのがめんどくさいなぁと思って避け続けてしまうとセルフネグレクトが近づいてしまいます。セルフネグレクトは自分で気づくことは難しいため、普段から身近な人とコミュニケーションが取れていると異変に気付いてもらいやすくなります。
収入がなく不健康
今、収入格差が大きな社会問題として注目されています。若く元気に働ける世代も満足のいく収入に届かず低所得となり、体の不調を感じていたとしても後回しにせざるおえなかったり、就職自体も厳しくなっています。
非正規雇用では給与の水準が低く、やりたいことや夢のイメージがしにくく毎日を生きていくので精一杯というストレスが付きまとっているのが、多くの人が抱えている悩みです。将来の明るいイメージがしづらいということは、大きな不満となり、心が不健康状態となり、日常生活への支障や無気力感、絶望感からセルフネグレクトに陥る要因となってしまいます。
セルフネグレクトになりやすい人の特徴
若い世代のセルフネグレクトになりやすい人とは、いわゆるしっかりした人です。
・人に迷惑をかけてはいけないと強く思っている
・自分の問題だからと自分一人で解決しようとする
・プライドが高く人を頼ることができない
当てはまる性格の方はセルフネグレクトになりやすいといえます。しっかりしている自分に過度の期待がかかり救いの手を拒絶してしまう。自分のことを自分で解決しようと思うのは素晴らしいことですが、人の手を借りることでよりよく解決できるかもしれません。大切な人や周りの人を信じて頼ってみてください。それがどうしても抵抗がありできない場合は、セルフネグレクト相談窓口もありますので相談することも視野に入れてみるといいでしょう。
大学生、専門学生、新社会人
親元を離れ一人暮らしをする人がふえ、自立への第一歩を踏み出す時。期待と不安でいっぱいの新生活が始まり現実とのギャップについていけず、ショックを受けることもあります。生活のリズムが出来上がるまでは不規則な生活になり、身の回りを整えることにまで気が回らないかもしれません。
健康的な食事、適度な睡眠、を若いからといってむりをしてしまうと、体を壊してしまいます。心身ともに健康でいることは、セルフネグレクトにならないためにとても重要です。掃除や後片付けも後回しになりがちですが、ゴミを放置していると不衛生で住み続けられない状態になることもあります。ご家族や友人の力を借りて、無理せず生活パターンを確立して安心して気持ちよく過ごせる環境にしましょう。
専業主婦
専業主婦は社会とのかかわりが少なく、ストレスの発散がしにくいです。外部との接触が少ないため、自分の感情を表に出すことや、意思表示をする場面も限られてきます。加えて子育て中の方や介護をしている方は自分の時間をあまり持てないため、見た目に気を配れなくなってしまうことも自己評価が下がってしまい、セルフネグレクトを引き起こす要因となります。
一人暮らしの高齢者
年齢を重ねるとどうしても若いころのようには体もいうことを聞かなくなります。出かけることが億劫になり、張り合いがなくなってしまうと健康的な食事をとることや身なりに気を使うことは難しくなるでしょう。
一人暮らしだと注意する人もいないため、なおさら気を付ける必要もなく、不健康になってしまいます。
そうした状態が続くと知らない間にセルフネグレクトになっていた。ということもあります。人と会って会話をすることで、認知機能が活性化し、張り合いも生まれます。外に行くのが難しい場合はご家族の方や周りの方のサポートがより大切になってきます。
セルフネグレクトを改善する対策方法
セルフネグレクトを自分で自覚するというのはとても困難です。感情は周りと比較することができないため、ストレスの発散ができずに、無気力になり、やるべきことができなくなりさらに自己嫌悪が大きくなっていく。
そうなってしまうとセルフネグレクトになる可能性が高くなってしまうため、危険です。甘く考えずしっかり改善しましょう。
身近な人がサポートする
セルフネグレクトの改善に一番効果的なのは、身近な人のサポートです。本人の努力ももちろん必要ですが、一人ではない、と実感することで気力が復活し、やる気もみなぎります。サポートというと具体的に何をすればいいの?と思われるかもしれませんが、簡単です。
相手に寄り添って話を聞いてあげたり、一緒に片づけを手伝ったり、気分転換にお出かけもいいと思います。少しのきっかけでセルフネグレクトは大きく改善できます。
自分が危機的な状況と自覚してもらう
セルフネグレクトは死を誘発することもあります。孤独死とゴミ屋敷はセットだと言われていますが、自分のことがどうでもよくなってしまうのがセルフネグレクトの特徴です。孤独死もゴミ屋敷も自分に関心がなく、人とのかかわりもたってしまったことで起こってしまいます。
それを本人が気づいていないことで、最悪の場合、死につながってしまうこともあります。危険な状態なんだと認識してもらうことはセルフネグレクトを再度引き起こさないためにも重要です。
治療を受ける
周りの人に自分の現状を知られるのは嫌だなという方は、「地域包括支援センター」に相談しましょう。全国の自治体にあり、無料で相談できます。
治療が必要な場合も相談することで適切なアドバイスをもらうことができます。心の病だと自覚するとでしっかりセルフネグレクトと向き合うことができます。
家や部屋を片付ける
物理的にきれいにしてしまうことで、この状態を保とうという気持ちになります。いっぺんに完璧に片付けようと思うよりも一か所ずつ毎日無理せず片付けてみてください。人を招けるようなお家にする!という目標や、明日はここをきれいにしてみようという役割を持つことはセルフネグレクトの改善に大きな効果が期待できます。身近な人にお片付けのコツを教えてもらうのもコミュニケーションの幅が広まり、いいことづくめです。
セルフネグレクトにならない方法
年齢性別関係なく誰にでも起こりうるセルフネグレクトですが、ならないようにするための方法をご紹介します。
何でも話せる友人を作る
自分の気持ちを吐き出せる人がいることは生きていくうえでとても貴重な財産です。自分の中にあるものを表現するのは、簡単なことではないかもしれませんが、一度話せるようになるとストレスをため込むことがなくなり、もしセルフネグレクトになったとしても気づいてもらえるチャンスにもなります。同時に、深い友人関係を築いていくことによって友達のセルフネグレクトを防ぐことにもつながります。
辛くなっても我慢しない
我慢強さは日本人の特性ともいえるかもしれません。辛い気持ちを切り替えられるのが心の負担が軽くかつ一番いい方法ではありますが、なんでもすぐに切り替えろというのは無理な話です。辛いなぁと思うときは我慢をしない。我慢をし続けると癖になってしまい、セルフネグレクトになっていても周りが気づきにくくなってしまいます。我慢は体に毒ということわざはまさにその通りなのです。
家族からのサポート
家族が気に掛けるというのもセルフネグレクトにならない方法です。離れて暮らしていてなかなか会えない場合はビデオ電話をしてみるのはどうでしょうか。電話では話が続かなくても顔を見て話すことで孤独感の解消にもなり、状況確認もできます。いざというときに家族からのサポートを受け入れやすくするためにも普段から会話をするようにしておくといいですね。
まとめ
セルフネグレクトのきっかけも改善方法もならないようにする方法もすべて【人とのかかわり】が重要なキーポイントです。自分は一人じゃないんだと思うこと、自己肯定感を高く持てること、がセルフネグレクトを遠ざけていきます。
身近な心の病なので誰かがそうなったときに手を差し伸べられるようにしていきたいですね。
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